それが出てくるのはあまりに有名な冒頭シーン。手に入らぬ物の無い大富豪に、チープな飾り物の水ガラス。その中にはノスタルジックで寂し気な雪景色。アンバランスな二つの世界が、これから始まる物語の糸口になっています。後々、撮影の手本になったグレッグ・トーランドの名カメラに編集はあのロバート・ワイズ。最期の言葉「薔薇の蕾」の謎をめぐって、伝説の大富豪の孤独の生涯を描いたこの作品、アメリカ映画と、そして製作にあたったオーソン・ウェルズの生涯までも、結局は大きく変えてしまいました。
1941年の映画で使われたのが我等がPERZY社の物だったか、さすがに分かりませんが、オーソドックスな雪小屋のモチーフといい、シンプルな作りといい、その可能性は十分。スノーグローブ製作の老舗としてこの歴史的グローブを再現したのも当然なのです。
今ではスクリーンを彩る小道具としてポピュラーになったスノーグローブ、でもそれを広めた2大クラッシックスと言ったら「メリーポピンズ」と「市民ケーン」でしょう。前者はディズニーから人気作のアニバーサリーグローブとなって発売されました。そして、もうひとつのCITIZEN
KANEのスノーグローブ、古いRKO映画だしあきらめていたら、こうしてオーストリアから思いがけずの登場です。考えてみたら、ウェルズとオーストリアの縁は深く、「第三の男」でもプラター広場の大観覧車が名場面として使われていますよね。こちらも、PERZYスノーグローブの大切なモチーフになっております。
実際の映画のカットと比べると、ケーンが憧れた少年時代への甘い郷愁を思わせる彩色がされていたりしてちょっぴり遊び心のある出来上がり。スクリーンのオーソン・ウェルズがやったように片手に乗せられる大きさ、思わず「ローズバッド‥」と呟いてみたくなったりして。ああ、でもホントに転がして割るのはNGです!高さ12cm、グローブ直径80mm。コレクターズエディション。
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